株式会社村中
〒 890-0071
鹿児島県鹿児島市三和町21-10
099-254-3301
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大島紬は二度織られます。
原図から始まり反物になるまでに三十数工程ありますが綿糸で一度締機され、染色、全解し絣糸と地糸を筬に通し絹糸のみで織り上げることから、世界に類を見ない絣織物、本場大島紬となります。
大島紬は一人で出来るものではありません。各工程に職人が必要となり、一つの工程が終わると次の職人に手渡す。そうした職人同士のチームワークで作っているのです。
大島紬の一反一反が我々職人の誇りであり、生き方なのです。
大島紬の製作工程は、図案作成から始まります。
出来上がりをシュミレーションしながらデザイン、設計、構成、配色等全ての工程における設計をしていきます。
近年ではコンピューターを用いて作成されています。
整経した糸を束ねて海藻のイギスを煮沸溶解したものを糊剤に使用し、絣糸になる絹糸を糊付けして、糸束の張力を一定にして締め機がしやすいよう別の糸がくっつかないように何度も糸の間に指を入れ、糊をつけた絹糸を分けていきます。
また、乾いた後に一か月程乾燥させます。
大島紬は二度織ると言われており、図案に沿って模様部分を木綿の糸で固く織り込むことで絹糸を防染し、染め分けが出来るように「絣筵(かすりむしろ)」という大島紬特有のものを作っていきます。
唯一無二のこの作業があることで他産地の織物では見られない緻密な柄を作ることができます。
締め機された絣筵の絹糸の部分を染色していきます。
注射針を加工した道具を使って染料を絣筵に何色も摺込んでいきます。
村中では摺込む色ごとに担当を決め、ムラが出来ないように丁寧に色を入れていきます。
絣筵に何十本と摺込まれた絣筵はとても綺麗な色合いになります。
摺込みした絣筵を更に立体感や色を強く出すために絣と絣の間の綿糸を部分的に破り取り、色止めと糊落としをし、もう一度絣の間の白色の部分に違う色を金属製のヘラで摺込むことで濃淡がさらに増すことが出来ます。
反物として織りあがった時に濃淡が綺麗に出ます。
摺込み染色を全て終えた絣筵の綿糸を全て取り除く作業です。
絹糸を傷つけないように絣筵の木綿だけを切り裂いて染色された絣の絹糸を出し一度織られた状態から再び糸束の絹糸に戻していきます。
村中の白泥加工は黄変を防ぎ、より柔らかく、しなやかな手触りが特徴です。
白泥の原料となる「カオリン」は天然の粘土鉱物で、白薩摩焼・ファンデーションなどにも使われています。
人肌に温めた地下水にカオリンの粉末を溶かし、全ての絹糸に白泥をつけ数時間ほど寝かしつけ込みます。
その後、余分な白泥をよく水で洗い流し自然乾燥させます。
白泥加工は施しすぎると、糸切れ、毛羽立ちする為、作業の頃合いが難しいです。
職人の技術、間合い、研ぎ澄まされた感覚が必要とされる白泥加工により、風合いも変わり、真珠のような輝きを放つ絹糸へと生まれ変わります。
梅雨時期など湿気が多いときは特に織り上げるときに絹糸が伸び、織りにくくなるので、図案の一番から順番に三十本ずつあげ枠し、絣糸を最後の織りをしやすいように糊付けし張力を一定にしてよく乾燥させます。
最後の織りをするために八疋分の絣糸を一疋ずつになるように一本一本、加工図案を見ながら絣糸配列をして、広い加工場(二十七メートル必要)で八疋分の絣糸を伸ばし一疋分になるよう分けていきます。
※一疋は反物二反分の長さになります。
筬(オサ)に間を開けながらタテ絣糸を図案の順番通りに模様の配列し、一疋分の長さを伸ばし筬を一疋の長さ通すことで織りの作業中に絣糸がもつれないように、幅を整えながらタテ絣糸を厚紙に巻いていきます。
織りの前に最終準備として絣糸と地糸をマルキに対して配列していき、アゼという機織りの足踏みと連結する道具に端から前後交互に一本ずつタテ糸を入れていきます。
入れ終わると織り筬に一羽二本ずつ配列されたタテ糸を間違えないよう入れていきます。
本場大島紬は四種類の糸で高機で織り上げていきます。
タテの絣糸、地糸を織り機に乗せヨコの絣糸、地糸をタテ糸の絣に合わせて織ります。
二本のアゼの間をヨコ糸を巻いた杼(シャトル)をくぐらせ、筬を打ち込むことで大島紬が完成されていきます。
何センチか織り上げた後に専用のヌギ針でタテ絣糸の微調整をして絣を丁寧に重ねると、柄が鮮明化し緻密で美しい模様が出てくるのです。
上手な織工でも一日に織るのは五十センチ程度で熟練の技が必要になります。
特に白大島は絣が見えづらく織るのが一番難しい為、大島紬の全体生産の10%となっております。
大島紬は、織り上げた日付と織工の織工コード、反物に一緒に織るむらなかの口織り、旗印の本場大島紬織物協同組合の登録口織りを必ず入れて組合の検査場で長さや織り巾、絣の不揃い、ムラなど二十項目の厳しい検査を受けて、合格、不合格の判定が旗印商標に明記されます。
組合の検査により本場大島紬のブランド・品質を保ち守っております。